2016年2月例会報告

久々に読書会をしました。テキストは

『子どもと本』 (松岡享子著 岩波新書)
 
 松岡さんの書くものは簡潔で力があり美しく、人を動かす力があり、本人の誠実さが伝わってくる本でした。以下に感想を抜粋します。
・わらべうたから、おはなし、ファンタジー、伝記、英雄譚、叙事詩まで、言葉のおかげで私たちは先人からの優れた文化遺産を受け継ぐことができた。一人の人間が誕生してから、言葉を認識し、聞き、読み、操り、段階を経ながら民族の記憶まで至る、言語の獲得とは壮大なものだと感じた。またデジタル機器が進化しても、人々が言葉を、物語を求めることは本能的と言ってもよく、人々が物語を紡ぎ、伝えようとする営みがなくなることはないだろうと確信できた。
・「語り(読み聞かせも含め)を耳で聞く」ことの大事さが、発達段階と人類史をふまえることでよくわかる。忘れていても、小さい頃の繰り返し読みや、大人からの語りはどこかに残っている。
・前半に読書の四段階が載っている。身近な例で、お気に入りのファンタジーから本当にあった偉い人の本が読みたい、と言い出したので、まさにこの第三段階から第四段階への飛躍だと内心驚き、成長の段階を見届けられたことを有り難く感じた。神話へのステップは異世界ゲームが肩代わりしているなんてことはあるのだろうか。
・専門職としての司書職(第5章)は本当にその通り。第1~4章までを一貫して、語りや子どもの成長、文化まで、論を立てて語られているので、第5章につながった時により説得力がある。
・「図書館のコアになる本」は、児童書だったら30年経たものが一つの目安になるのだろうが、かといって最新の本へも目配りが必要。その辺のバランス感覚は司書として養っておきたい。高校図書館だったら「コアになる本」は何が当たるのか。
・佐藤多佳子さんの講演でもあったが、ちょうど外国の翻訳児童文学の最先端を浴びるように読んだ世代が、今50代前後でいい仕事をしている(上橋菜穂子さんなど)。物語や伝記や神話の主人公と同化して読める世代に、それを楽しんで読んだかどうかは大きい。また、今になって思えば、なぜいいと思ったのか分からない本や、大人になって読み直したらまったく違う見え方がするものもあるが、それがわかるのも子ども時代に読んでいるからこそ。
・個人的には、本を読むことが好きな人になってほしいし、ただ読めた方がよい人生が送れると思うが、実際に読めない人でも、「人との交流」で得られることも多い。要は「他者と交わること」が大事であり、他者は、本であり人である。
最後に、各々が幼児期から高校ぐらいの間で読んで、もう一度読みたい本や、自分を作った本を、思い出話と共に紹介し合いました。
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