2007.3月例会報告 読書会 佐藤多佳子を読む

日時 3月17日(土) 13時~ 参加者 7名


 最初に、佐藤多佳子著作リストを見ながら、参加者各自が何を読んできたかをチェックしました。ちなみに、『イグアナくん…』が4名、『スローモーション』『黄色い目の魚』『しゃべれども…』『ハンサム・ガール』が3名、そのほかも誰か1名は読んできているという状況でした。
 その後、佐藤多佳子の作品やYAの動向についてなど、自由に議論を交わしました。出された意見はおもに以下のとおりです。

【佐藤多佳子の作品について】
○「走り」ものの中では、『風が強く吹いている』が大人として一番楽しめた。『一瞬の風になれ』は今ひとつという印象だった。
○でも、『一瞬の…』はスポーツ系の人には受けると思う。
○この人は取材の人かもしれない。ディテールがきちんとしているし、素材の味を生かして書いている。
○『しゃべれども…』を読んでいて思ったけど、子どもの描写がうそっぽくない。さすが児童向けのものを書いてきた人という感じ。
○お説教的なところがあまりなく、常識的なところからすると ちょっとひねくれた感じの部分がある。「こうしなさい」「こうした方がいい」というところがなく、読んだ人がその人なりに感じればいいというスタンスを感じる。こういうところが、ある意味で読まれるのかもしれない。
○ソツがないし、へんな突き抜け感がない。
○クセがない。
○‘萌え’もないけどね。
○??? 何、それ!
○「私」の中の問題を私的に書くんじゃなくて、客観的に書いている。だから‘萌え’がないの。
○そういう意味でうまいんだろうね。
○ただ、そういう書き方だから、ちょっと距離感があって、ハマれるタイプではない。その点、森絵都はハマる。『ダイブ』なんか明らかにキャラ萌え系。しかも、巻ごとにキャラを分けて書いてる。
○話は変わるけど、佐藤多佳子は表紙のデザインに恵まれていないよね。装丁は大切!
○そういえば、エミリー・ロッダの『秘密のメリーゴーランド』の表紙もひどいよ。内容はとってもいいのに。
○児童文学系の装丁はひと昔前という感じがする。
○内容もそうだけど、やっぱりあとを追っかけてきているからじゃないかな。
○で、佐藤多佳子のおススメは?
○『しゃべれども しゃべれども』
○『イグアナくんのオジャマナ毎日』

【YAをめぐって】
○YAと一般の境界はどこにあるの?
○YAの定義は何だろう? 『一瞬の風になれ』はYA?
○『夜のピクニック』はYA?
○『夜のピクニック』は、大人が高校時代を振り返りながら読むノスタルジーものだから、一般向けでしょう。
○それで、高校生受けが今ひとつなのかぁ。
○ともかく、YAを読む層が広がったよね。
○YAを読んで大人になった世代がそのままYAを読んでいるからかな。
○今はケータイ小説が人気だよね。内容的にはキワドイものを扱っていながら、文体は幼稚。
○それに対して、YAは文体としてはきちんとしている感じがする。
○きちんとした文章に慣れていないと、これまでのYAは読めない。
○そうすると、ケータイ小説に流れていくのかな。
○児童向けはスッキリ感が大切だと思う。
(ちなみに赤木かんこさんは、「児童文学は主人公が成長しない(子どもはすぐに成長できないから、話の中でもむしろ成長してはいけない)」「YAは一つの話を通して主人公が成長する」と分類していました)
○児童文学も、昔ながらのものはあまり読まれない。どちらかというと、YA向けを書いている作家が書く児童向けのものをよく読んでいる。
○ところで、さっき「ハマれる」「ハマれない」という話も出てたけど、最初に出会ったもの、ハマったものをそのまま引きずって大きくなっているのかな。生徒を見ていて、文体や作風が新しいものへと移っていけないようだけど。
○作者も、自分の読者の年齢的成長に合わせて、児童向け→YA向け→一般向けと変わっていく面もあるだろうしね。
○最近は、YA向けの作家が児童向けを書くようになっているみたいだけど。
○児童向け出版社が行き詰って、YA作家に頼むようになっているのかな。
○読者である子どもの状況が変わっているのもあるような気がする。早く大人にならなければならない状況があって、子ども子どもしているのをうそっぽく感じるのかもしれない。
○ともかく、ライトノベルをいろいろな出版社が取り合っている感があるね。
○そのときそのときに一番エネルギーがある分野にみんなが集中するんじゃないかな。ミステリーのときもそうだったし。
○その意味では、ここしばらくはケータイ小説が広がっていくのかな。
○生徒は幕の内弁当みたいな、つまりおいしいところ満載の話を読みたがっているから、ケータイ小説が受けるんじゃないの。
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