4月例会報告「華麗なるブックカバーかけの世界」

2005.4.23 松本市なんなん広場 参加者8人

 くしくも4月23日、子ども読書の日に行われた今回の例会のテーマは「ブックカバーと装備」。
 以前、「他の司書がブックカバーかけてるのって見たことある?」という話になり、「そういえば司書課程ではブッカーかけは習わなかったけど、誰に習った?」「スタンダードなかけ方ってあるのかな」ということで企画された今回の例会。事前にみなさんにアンケートを行い、その結果をもとに各自の方法を話し合ったり、実演したりしました。アンケートにお答え頂いた皆さんありがとうございました。

 ブッカーの種類は?その特徴は?
 本が汚れないように本来のカバーの上からかける透明なビニールフィルム、通称ブッカー。参加者の利用している種類はメーカーでは埼玉福祉会の「ブックコートフィルム」が多数を占め、他にはクリーンの「クリーンフィルム」を使っている人が何名か。他にはキハラのものがあるそうです。
 選ぶ基準としては、表面の加工(つるつるか、ざらざらか)、塩化ビニール製か、ポリプロピレンか、UVカット機能、気泡防止機能、裏紙のマス目印刷の有無など。表面がつるつるしていると夏はべたつかず、かけやすいけれど、本同士の摩擦が弱くなるので積み上げたときすぐ崩れるという声が。同じメーカーの同じ商品でも、細かい部分は買う時期によって違いがあるということです。企業も日夜マイナーチェンジを繰り返しているのですね。
 素材の違いについては、燃やしたときの有害物質についても考えるべきだという声もある一方、「うちの地区は塩ビでもポリプロピレンでも、不燃ゴミだからどっちでも同じかもしれない」という人も。ブックカバーを掛けた本を廃棄する10年後、20年後の各自治体のゴミ事情も今からでは想像もつきません。なるべく気をつかうべきなのでしょう。
 UVカット機能については、比較対照がないため効果を実感できてない人多し。あざやかな赤や青の背表紙は、日に焼けてタイトルが判読不可能になるという声が続出しました。

 また、綺麗な写真をあしらった大判の本では、きれいにかけてもしばらくしてインクから気泡が発生し、表面がしわしわになってしまうという事例が報告されました。(写真:恐怖!しわの寄った本
 これを防ぐ商品もクリーンから最近発売されましたが、使った人はまだいません。これはUVカット(窓にUVカットフィルムを貼った所もあるそうです)とあわせて、実験するしかないということになりましたので、結果をお楽しみに。
 万が一気泡の発生でカバーにしわが寄ってしまったら、ベンジンではがせるそうです。はがしたカバーはもう使えませんが、本はもういちどカバーをかけ直せば大丈夫!

  裏紙の格子の印刷はしてある方が貼るとき目安になりますが、逆にちょっと斜めに印刷されているときがあって、かえって手元が狂う、という人も。裏紙はつるつるする加工が施しているので古紙リサイクルに出せません(知らなかった!)。なんとか使えないかと、お茶殻を乾かすのに使っている人もいました。あのつるつるを生かして文化祭の出し物ですべり台が出来るかも。

 帯の処理
 場合によってそのまま貼ったりはずしたりと臨機応変に対応している人が多いようです。はずすとデザインが壊れるもの以外は、だいたいの人が切って内側に貼っていました。全面貼りつける人もいますが、本の喉の所に、線状にのりを塗って貼りつける人も。こうすると帯の下の部分も見ることができます。
 新刊!や大好評!といった、そのときだけ有効な帯ははずしてからブッカーをかけますが、受け入れてしばらくはブッカーの上に巻いておいて、旬が過ぎたらはずすという手もあります。

 ブッカー張り実演
 参加者が4方から真剣な顔で見つめる中で順番に実演。緊張しました!
 みんなちょっとずつ貼り方が違いそうだという予想はしていたものの、本当に千差万別でびっくり。ちょっとしたカルチャーショックでした。

 一番違ったのが、角の処理。切らずに中に全部折り込む人(写真)、ちょっと余らせて切ってその部分を中に折り込んでから貼る人、角に対して90度に切り取る人(写真)、角に対して45度くらいにして折ったときに内側で重なるようにする人(写真)…。
 また、ブッカーの台紙をつけたまま角を切り取るとべたつかないそうです。(写真

 順番も、端を折ってから下にカバーを敷いて貼る人、爪で折り癖を付けてから上からかぶせて貼る人、真ん中まではがして物差しで一気に貼る人(写真:瞬く間の出来事)、両端をノリで貼って固定する人などさまざま。帰ってきて自分でも色々まねして貼ってみましたが、慣れないせいで四苦八苦しました。
 ベテランの方々の目にも留まらない早業をみながら自分はなんて遅いんだろうとしみじみ。まだまだ修行が足りません。


 道具色々
 ブッカー用のハサミはボンドフリーがいいようです。普通のハサミもこまめに研ぐのがおすすめ。ブッカー用の物差しは硬くて丈夫で、ブッカーをはるとき力をいれてもゆがみません。金属ででてきているのがいいという人もいるそうです。物差しじゃなくてハンカチで貼る人も。ずっと同じのを使っているので、なんと穴があいてきたそうです!
写真:ハンカチで貼る人

 失敗談とその対策
 カバー下のものに気付かずに貼ってしまったという人がいるので、「貼るときいったんはがすのでは?」と思っていたのですが、実はカバーから本をはずさずに貼る人もいたのでした。こうすると、カバーをいったん完全にはずしたために、カバーと本体が逆さまになるという事態は避けられます。どの方法も一長一短ですね。
 カバー下に説明や地図などが載っている場合は、コピーを取って内側に貼るという人もいました。なるほど!
 貼っていて空気が入ってしまったら?という質問に皆一様に「針でつつく」という答え。これは皆同じでした。
 また、クロス張りの本は型紙を当てた上から、薄めたボンドを筆で塗って、硬い下地を作ってからラベルを貼るとはがれないそうです。

 毎日やっているようで、職場でひとりの学校司書には他の人に教えてもらう機会が意外に少ないブッカーかけや装備。意外な盲点や発見などが多く、ついつい話し込んでしまいました。

(文責 AT)

最後に、「ブッカーには「目」があるらしいよ」という話が例会中に出たのをHさんがメーカーに確認してくれましたので、その報告を引用します。




疑問 ブックカバーには目があるのか 

 急場や予算の関係で、大判をいろいろなサイズに使い回ししたり、25㎝のブッカーで文庫も新書も掛けている方もいるのではないでしょうか。例会の最中に出された、「ブッカーに目はあるのか」について、各メーカーに問い合わせしてみました。

埼玉福祉会
・縦も横も同じなので目はありません。対応していただいた方も、25㎝を文庫や新書に代用するような利用法をしていますが、問題ないということでした。



クリーン
・縦横関係ありません。コートにエンボス処理がされているので、フィルムが直線で割れてしまうようなことは起こらないということです。



キハラ
・紙には目があるので、製本時などには注意が必要ですが、ブックコートには目はありませんから大丈夫です。と製品係の方がおっしゃっていました。



製品自体が劣化した場合などは、粘りがなくなり切れたりすることも考えられますが、現在長野県の図書館で使っている主流(であろう)3社からは、「大丈夫」とのお返事をいただきました。まあサイズがいろいろあるので、製品に合わせて使っていただいた方が、よりよろしいかと思われます、とクリーンの方からは言われました。お金があればねぇ……。

(文責 H)


注)文中で使っている「ブッカー」という言葉はブックコートフィルム全般をさして使っています。特定の製品についていったものではありませんのでご承知おき下さい。(日本ブッカー社のご指摘を受け付記しました)2006.2.11 Web担当AT

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華麗なるブックカバーかけの世界

「しなのがくとブログ」より http://shinanogakuto.blog4.fc2.com/blog-entry-5.html ブックカバーには目はあるのか?長年の疑問が解決。いろいろ参考になりました。...

コメント一覧

#4 行きたかった!
楽しかったようですね。
「インクから気泡が発生してしまう」「クロス貼り本へのラベルの貼り方」
など例会報告も勉強になりました。
ちなみに私は、空気が入ってしまったときにはカッターを使って
斜めに傷を入れて抜いているのですが、針でつくんですか。ドキドキ。
総会の時に、夏休みの一研究の発表みたいに展示してあったら面白いなあと
行けなかった人間は思いました。
#5 おもしろかった
ものすごいシワの寄り方をした『ヨーロッパの家』シリーズを見たときは、本当に悲しかった。私が引っ張りすぎたか、空気が入ったかと思って。でも原因は別のところにあると聞いて、安心したような切ないような。
図書委員会時代から20年弱、ブッカーをかけ続けてきたが、かけ方人それぞれと改めて見入ってしまった。
几帳面な人、スピードを重視する人(雑なわけではない)、いろいろで性格が出ますね。
こちら手先が細かく素早く動かないので、Yさんのように1冊ウン秒の早業は無理ですが、スピードアップをめざし、改善してみます。でも身体に染みこんでいるのよね、動きが。
UVカット効果の比較研究、やりましょうね。
#7 シワが寄るのは何故?
『ヨーロッパの家』はやっぱりシワが寄るんですか!
後、ソフトカバーの厚い辞書とか、シワが寄る書籍はみなさんどうしていますか? すみません、教えていただければ幸いです。
#8 TRCを使っています
以前は、埼玉福祉会のを使っていたのですが、TRCの方が粘着力が弱いというか、表面がつるつるしてないので、へたくそでもごまかせるし、表面がてかりません。(公共図書館にある本のブックコートと同じ)ただ、価格的には若干高めです。1万円以上なら、送料無料だったと思います。
また、TRCのスクールベルを採択し、オプションでブックコートを掛けることを選べば、ブックコートがかかった状態での納品となり、とっても楽です。ただ、これは自分で選書ができかねるので、予算に余裕があることが必要です。
決してTRCの回し者ではありませんが、ブックコート、TRCのを使うと、他のブックコートがとってもはりにくく感じてしまいます。(^_^;)
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